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2014年10月21日 (火)

『内気な天使たち』(32)

  思春期のアキラ  ?


今朝(一月二十一日)、昇降口に降りていくと、すでにジュン君が、

靴箱の間にある椅子に腰を下ろしていた。 

  彼は、いつものように、「アセ、カキマシタ」と言う。帽子を横っちょに被り、

ニコニコしている。このジュン君の笑顔は最高だ。 

 「後から行くから、先に行っててね」と言うと、ジュン君は、「ハイ!」と言っ

て、左足を引き摺りながら歩き始めた。



  山田先生と一緒に更衣室まで行こうとすると、誰かが、何と更衣室前の

廊下で、パンツ一枚になり、着替えをしている。 

  初め、遠目に誰か分からなかったが、少しずつ近づいてみると、一年生

の山下太郎(仮名)である。 

  太郎は、「ヒラヒラヒッヒ、ヒー」と意味不明な言葉を発しながら、裸の

まま、更衣室に駆け込んだ。

 

  部屋の中では、五人ほどの生徒が着替えていた。そこには、先生の姿

がなかった。 

 太郎はきっと、みんなに遠慮したか、気後れして出ていたのかと思った

が、その理由は、結局分からなかった。 

  間もなく、先生方や生徒たちが入ってきて、更衣室も生徒で一杯になっ

た。ユウジ(仮名)が、ニヤニヤしながら「人間っていいな、人間っていい

な」と言う。 

  すかさず、加藤先生曰く。「そう、お前たち、疲れないから、いいよ」と。

その言葉に、私は、何気ないユーモアを感じた。



  A組の教室に入ると、アキラの連絡帳のことが話題になっていた。
 

昨日、お母さんは、次のように書かれた。「昨日は、摘み食いをしている

か、女性下着のカタログを見ているかして、忙しそうにしていました」と。 

 これに対して、担任の小山先生は、次のようにコメントされた。「下着の

カタログを見て、ニヤニヤしている明君が、目に浮かびます」と。 

  すると、今日のお母さんからの伝言には、次のようにあった。「昨日は、

少しイライラしていました。外人モデルがよいようです」と。 

  そのフランクな言葉のやり取りに、私は、思わず頬が緩んだ。アキラ

始め、みんな十五歳。―   やはり、年頃なのだ。思春期と言ってもよい。

 

  そういえば、中学部合同のマラソン練習の時にも、準備運動の際、

アキラはよく、一年生の藤山清美ちゃん(仮名)の側へ行き、そこから

動こうとしなかったことがある。 

  先生方の間でも、「アキラは、清美みたいな小柄な女の子が好みだ」など

と話題になった。



  ある時は、やはり同じ体育の時間、石橋女教諭の間際で、ニヤニヤして

いたことがあった。 

  その時は、石橋先生に、「エッチ、しないの!」と言われた。「他の女の

人にしたら駄目だからね」と、先生から、釘を刺されていたこともあった。 

  アキラだけの問題ではなく、この時期の生徒たちにとって、決して軽い

ものではないように思われる。







  ケーキ屋さんになりたい





  今朝(一月二十三日)の冷え込みは厳しかった。朝から、小雨混じり

の天気である。 

今日は、ホカロンを腰に巻き、出勤だ。やはり、年は争えない。 

  昇降口で、スクールバスの到着を待つ間、何気なく小学部の靴箱に、

目がいった。 

 一年生だろうか、てつや、だいすけ、りょう、すすむ、まさしと、名前だけ

が平仮名で大書されている。 

  そして、ドラえもん、バイキンマン、りんご、バスなどの大きなワッペン

が貼ってある。自分の靴箱ということが、はっきりと分かるためでもあろう。


           Photo



           Photo_2



  一台目のバスがやって来た。こちらからも、思わずバスに手を振る。

すると、愛ちゃんが、早速気づいてくれた。彼女の口許が微笑んでいる。 

  バスから、晴男が降りてきた。挨拶のゴッツンをやる。今朝のは、ちょっ

と強烈だ。今日は三回、晴男と抱擁し合い、ゴッツンをやった。 

  三回目には、彼は、「キッチュ」と言って軽く私の頬にキスをしてくれた。

男子のキスでも、やはり少し照れくさいものだ。

 

  ゆりとも、目が合う。思わず、彼女は、ニカーッと笑ってくれた。彼女の

手をとっておられた中村先生の言では、ゆりは最近、投薬の量が増えた

とのこと。 

  それで、癲癇発作の回数は減ったけれど、動作が緩慢になったとのこと。 

そういえば、最近、彼女の動きが少々鈍くなっていると感じたが、あれは、

薬のせいだったのか。毎日、多量の薬が必要な生徒たちを可哀想に思う。



  今日は、屋上でマラソン練習だ。愛ちゃんが近づいてきて、「ワタナベ 

センセイ」と言ってくれた。 

  それまでは、「メガネの先生」だったので、やっと覚えて貰えたと思った。

彼女に、「先生、一緒に走って」と求められた。 二人が走っている(厳密

には、歩いている)と、雨が少しバラツキ始めた。


                         Photo_3


  アキラがフェンスに手をあてながら歩いている。それを見た愛が

「アキラ、走れ!」と叱咤する。 

  私が「愛ちゃんは、いい先生になるね」と言うと、彼女は、「アタシは、

ケーキ屋さんになりたいの」と彼女。

 「いちごのケーキ(ショートケーキのことか)とチョコレート・ケーキ

好きなの」と彼女。 

       
             Photo_4

  「先生は、どんなケーキが好き?」と問うので、「チーズ・ケーキかな」

と言うと、「チーズは、家で食べるけど、余り好きじゃないの」と彼女。 

  好き嫌いが、たいへんはっきりしている。



  今日の作業の時間は、一年の太郎のことが話題になった。

彼の検尿(?)という話題である。 

  この頃、太郎はオシッコをする際、それを右手で掬って見ているという。 

それを聞いていた山田先生、「太郎は、そればかりか、道端に転がった

犬のフンを、お手玉みたいに遊んでいるんですから」と仰る。 

  「じゃ、太郎とは、握手なんか出来ないわね」と、石橋先生。 

子供たちの生態は、本当に不可思議で奥が深い(?)と思った【つづく】

 

 

 

 

 

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