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2014年10月10日 (金)

『内気な天使たち』(24)

  女心と秋の空(?)

 

  今日(十一月七日)、昇降口前でスクールバスを待っていると、通用口

の所の小さな坂を登るジュン君の姿が見えた。私は、思わず手を振った。 

  すると、それに気づいたのか、彼も微笑みながら手を振ってくれた。

彼の挨拶言葉、それは、いつもの「汗、カイタ」である。



  更衣室では、加藤先生がマコトの着替えを見ておられる。マコトは、辺り

をキョロキョロしながら着替えている。加藤先生曰く。 

  「マコトは、今日も“指示待ち症候群”ですね。自分で、次に何をすべき

かは分かっているんです。でも、こちらが、それを命令しないと、まったく

やらない」と。 

  事実、加藤先生が、「マコト!」と強く仰ると、彼は、シャツのボタンに手を

かけて脱ぎ始めた。 

  今朝は、仁(ひとし)がご機嫌だった。兎のような歯を出して、何かしら

微笑んでいる。 

  私は、彼がこんなに笑っている表情を見たのは初めてだった。すでに、

半年以上が経つというのに、日々、新しい発見である。


           Photo
 

  どうにか着替えの介助を済ませ、A組みに入ると、今日は、のぞみの

様子がおかしい。 

  私の入室を認めると、頭を振り、髪を振り乱し始めた。そして、私の手を

取って、隣りの教室へと入った。 

  ”あなたは、A組にいないでほしい”という意思表示なのである。

 

  加藤先生が、「眼鏡をかけている渡邉先生を、他の人と異なるゆえに

拒否するだけかも知れませんね」と言って慰めて下さる。 

  廊下でうろうろしていた私を認められた石橋先生は、強くのぞみを一喝

された。 

 「のぞみ、渡邉先生は、あなたの先生なのよ。追い出したりなんかした

駄目だからね」と。のぞみも私も、些かパニックになってしまった。 

  土屋先生も、「拒否するということは、逆に先生を認めているということ

なんですよ。だから、状況が変われば、態度もきっと変わると思います」と、

極めて哲学的なお言葉を下さった。 

  妙に納得した気分でA組に入り直すと、ちょうど朝の会が始まるところ

だった。のぞみも、少し落ち着いた様子だ。上体を、心持ち前にして、座っ

ていた。

 

  今日の集会は、卒業製作で彫金である。私は、ゆりを手伝った。彼女

は、力が無いので、金槌をなかなか振り下ろせない。それで、私は、彼女

をサポートしながら、トンカントンカンとやっていた。*下の写真は、

イメージ)

            Photo_2


  われらの直ぐ側にA組ののぞみがいた。そして、何を思ったか、彼女は、

私の手を握り、“一緒にやってくれ”という素振りをする。

  ”あれ、のぞみは、先生が嫌いじゃなかったの?”と思いつつ、彼女と

一緒に金槌を振り下ろした。内心、不思議な思いだった。 

  まさに、〝女心と秋の空”である。外には、際限のない秋の青空が広

がっていた。

                       Photo_4


 

  

  交通安全指導

  

  今日は十一月五日、出勤途中に見たA公園の銀杏並木が、だいぶ

黄葉していた。 

 特に、日当たりのい樹々は、黄色く色づいている。早いもので、今年も

後二ヶ月足らずだ。


         Photo_5


  いつものように、昇降口で、スクールバスの到着を待つ。今朝は、B組

の愛ちゃんが、いつもより早く降りて来た。駆け寄って行くと、嬉しそうに

笑ってくれる。 

  二人で、昇降口まで行くと、ちょうどジュン君が登校したばかりだった。

彼は、椅子に腰をおろして靴を取り替えている。 

  私は、先週のマラソン練習の際、愛ちゃんが欠席したことで、ジュン君

が「つまんないや」と言ったことを思い出した。 

それで、そのことに触れると、ジュン君は、「そう! つまんなかった」と言う。 

 それに対して、愛ちゃんは、「先週は、風邪を引いていたんだもの」と弁解

していた。 

 二人は中三なのに、まるで、幼児の会話のようで、それが、とても微笑ま

しかった。



  更衣室でジュン君の着替えを済ませると、勇太が入ってきた。介添えを

すると、パンツがオシッコで濡れている。新しいパンツをはかせ、どうにか

着替えを終了した。 

 その後、C組の教室にいると、ゆりの担任の中村先生が、「渡邉先生、

聞いてて」と仰る。何事だろうと思っていると、先生は、ゆりの方を向いて

「源 ゆりさん」と言われる。 

  すると、ゆりがうつむき加減に、小声で「ハーイ」と答える。それは、

初めて耳にしたゆりの明瞭な声だった。か細い声ではあったが、確かに

聞こえた。 

  あの紙工室で耳にした天使の声(?)同様、半年目にやっと耳にした

ゆりの声だった。

 

  今日は、交通安全指導が、体育館内と運動場で行われた。体育館内

には、映写機がセットされ、みんなで「鉄腕アトムの交通安全指導」と

いうタイトルのアニメを観た。 

  道路への飛び出しをしないこと、信号機の無い横断歩道では、左右の

確認だけではなく、耳で車の音を聴き、来ていないことを確認した上で

横切ることなどを教わった。 

  運動場では、その実地練習である。中三の生徒から順々に、手を高く

挙げながら、特設の横断歩道を歩く。中には、横断歩道以外の所を歩き

出す生徒もいる。 

  架空のものとはいえ、「横断歩道」と認識することが、かなり困難な

ようだ。生徒たちは、多分、一体何をしているんだろう?という思いなの

かも知れない。 

  今日は、田中先生と小学部の福永先生(仮名)が、進行係を兼ねて

全体指導をなさった。それは、とても有益なひと時だった。 【つづく】               

 

 

 

 

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