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2014年9月 6日 (土)

『内気な天使たち』(2 )

  職員室にて


 T養護学校の先生方は、なぜか私には輝いて見える。それぞれが明る

いのだ。 

 小学部・中学部のどちらも、御一人おひとりが“本当に子供が好きなん

だなぁ”と思う。

 

 初仕事当日、私は、先生方への挨拶のため、校長先生と教頭先生に

伴われて職員室に入った。その瞬間、私は、そこが今まで目にしてきた

職員室と余りにも違うので、内心パニックに陥った。

 第一印象は、先生方がとても若いということだった。 

  それに、女の先生が多く、とても華やいだ雰囲気だった。一瞬、お花畑

に迷い込んだような思いだった。それは、私にとって未知の「別世界(ある

いは新世界)」だった。


  校長先生や教頭先生の御紹介の後、私は挨拶のため立った。そして、

養護学校での仕事が全く初めてのこと、親戚の子が、故郷・熊本の養護

学校で成長したこと、後は型通り「どうか宜しく御指導ください」と続け、

先生方がわざわざ耳を傾けて下さったことに感謝し、「御静聴ありがとうご

ざいました」と結んだ。 

  話し終えた途端、心なしか”ウォーッ!”という軽いどよめきが起こった。

 

  随分変わった奴が入って来たなと思われたかも知れない。だが、その

一瞬の波ようなどよめきには、何か温かい趣があった。新参者でも

快く包み込むような優しい雰囲気があった。

 私は、ふと「養護学校の先生たちって、普通学校の先生と違って、本当

に心の優しい人たちなんじゃない」という、妻の何気ない言葉を思い出し

ていた。 

 

  教職員の打ち合わせは、てきぱきとして無駄がない。だが同時に、何か

明るく温かいものを感じる。屈託のない笑顔といい、優しい物腰といい、

現代の私たち日本人が忘れかけているものが、そこかしこに見られる。 

  確かに、先生方の中にも色々な方がいよう。中には、仕事の内容や

職場の人間関係に不満を持つ方がいるかも知れない。自分の仕事を

不本意だと思いつつ働いている方も、中にはいるだろう。

 

  だが、T養護の先生方には、体ごと生徒にぶつかっているという張り合い

と自信のようなものが感じられる。やはり人間は、頭だけではなく、体全体

使うということが、健全な精神を育む上で不可欠なことのようだ。

 そのよな心身の健康やバランスの良さ、そして子供たちへの愛情が、

先生たちの表情を明るくし、輝かせているのかも知れない。 

  私は職員室で、先生方の打ち合わせを端で拝見しながら、ついそのよう

なことを考えていた。

 

   朝の挨拶と微笑み

 

 T養護学校の朝は、気持ちのいい挨拶で始まる。教職員の皆さんが、

口々にはっきりとした声で「お早うございます」と言われる。 その気取りの

ない挨拶に、ほっと心が和む。

 

  私たち日本人は、いつの間にか、こんな気持ちのいい挨拶をすること

を忘れてしまった。だが、ここには、その美風がまだ残っている。日本中

が、こんな気持ちのいい挨拶ができたら、どんなに幸せだろう。




  私はいつの間にか、二年間過ごしたホノルルでの生活を思い出してい

た。ハワイの人々は、快く挨拶をし合う。 

  ”グッド・モーニング(お早うございます)”という言葉は、語源的には

「いい朝でありますように」という祈りの意味を含んでいる。 

   ”グッ、バーイ(さようなら)”には、「神が共にいらっしゃいますように」

という意味が込められている。 

  ”ハブ・ア・ナイス・デー”という言葉には、「いい一日をお過して下さい」

と同時に「いい一日でありますように、念じています」という意味もある。
 

   Photo


  T養護学校での挨拶には、このようなハワイでの挨拶を彷彿とさせるよ

うな明るさと温かさがある。一日の生活は、挨拶に始まる。私たちは、もっ

と挨拶を大切にすべきではなかろうか。

 朝の挨拶を交わしながら、ついそのように感じた。

 

  この挨拶と同時に、T養護で感じるのは、皆さんの自然なスマイル

(笑顔)である。私は、マザー・テレサの言葉を思い出した。

 マザーは言う「お互いに微笑み合いましょう。奥さんに対して。御主人 

に対して。子供さんたちに対して。  

  その相手は、どなたでも構いません。微笑みは、お互いの愛を育む上 

で、あなたの助け手となりましょう」と。

            Photo_2


   挨拶と微笑みは、生活の潤滑油である。今の日本社会は、この潤滑油

が極度に不足して、互いの人間関係がギスギスしている。「油不足」で、

ギシギシと軋む音が聞こえるようだ。

 

  みんなが、まるで怒ったような顔をしている。とても不機嫌な顔をしている。

今、日本人は、世界で一番人相の悪い国民ではないだろうか。 

  それは、浅薄なお化粧や人工的な日焼けなどで糊塗できるものではない。 

やはり、内面から溢れ出るような明るさやエネルギーが必要なのだ。

 

  本校で接する挨拶とスマイルは、そのような明るさやエネルギーを自然

に感じさせるものである。その明るさを遺憾なく発揮しているのは、実は、

ここの先生方や生徒たち一人ひとりなのではなかろうか。    【つづく】               

 

 

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