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2013年9月 6日 (金)

吉田松陰の祖国愛(完 )

  松陰の「教育観」


  国民国家形成の根幹は、「教育のあり方」にある。

学校教育、家庭教育、社会教育などさまざまであるが、国家(あるいは、

政府)や国民が、いったいどのような教育観を持っているかが、その国

の現在と将来の枢要な部分を決定する。つまり、教育」こそ、国政の要

である。



  それでは、松陰の「教育」とは、いったい、いかなるものだったのだろうか?

それは、端的に言えば、聞く人の“魂”に訴えかける教育だったと言える。

彼の教育は、年齢を超越(あるいは、度外視)したものであった。

  つまり、松陰は、相手を大人とみなして教育した。小室直樹氏によれば、

松陰の『幽室文稿』の巻頭に「岡田耕作に示す」という一文がある。



  正月二日に、岡田耕作が松下村塾(*下の写真)にやってきた。

松陰は、即座に孟子の講義をして、一篇を読み終った。そして、村塾の

高い理想を説き、現在わが国の危機に及ぶ。

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  アメリカの使節は江戸城(*下の写真)に入り、他方、義士は獄に下っ

ている。このように天下の危機は迫っている。それなのに新対策はある

のか。

  この時の岡田は、わずか10歳であった。松陰は、10歳の児童に向かっ

て、天下の危機に対する管理がなされていないことを悲憤慷慨したので

ある。

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  さらに蘇峰をして「彼の眼中には、幾(ほと)んど童子なし、彼は10歳の

少年をも、殆ど己と同地位に取扱えり」となる。求道者は、その本質にお

いて平等な友人なのである。



  この一例からも分かるように、松陰は、彼の言を聞く人の耳にではなく

心に、さらに、単なる心ではなく、その深奥に存する“魂”に訴えたのだと

思う。

  そこでは、身分や年齢といった社会的な属性は、まったく意味をなくして

しまう。

 事実、松下村塾には、身分を超えて若者が集い、すべての門下生が

平等、かつ活発に議論し合った。実際、松陰は、自ら先生であるとか師

であるとかいった態度を、一切とらなかった。

  しかし、これは、松陰に教育者としての権威がまったく無かったというこ

とではない。むしろ、絶対的と言えるほどの〝権威”があった。

  だがそれは、決して形式的な産物としてではなく、むしろ門下生たちと

“魂の触れ合い”から生じる、極めて精神的な敬慕・信頼関係によっ

て成り立っていた。


  古川薫氏によれば、松陰の人柄を偲ばせる次のような一文があるという。

  松陰の性格について、天野清三郎(渡辺蒿三・・・・・松陰門下生中もっ

とも長寿だった人物で、昭和14年に97歳で没した)は、「怒ったことは知ら

ない。人に親切で、誰にでもあっさりとして、丁寧な言葉使いの人であっ

た」と証言している。

  「諸友に告ぐ」をはじめ、松陰が門下生に与えた文章を読むと、教えると

いうより諄々と説き、訴える調子が目立つ。古川氏は言う。


  「内面に激しく情熱を燃やしながら、人間に対しては限りなくやさしく、

そのモットーとする『至誠(*下の写真)をかかげて接近して行く。

松陰の感化力の秘密は、その様なところにあったのかも知れない。

  『講義は上手であった』と天野は言う。この様にして、優れた教師として

の松陰の像が浮かんでくるのである」と。

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  このように、松陰の教育(乃至、「教育観」)は、人びとの平等な信頼

関係に基づく、極めて自由な“人づくり”を目ざしたもので、今日の教育

には見られない「人格教育」だった。

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  次に、今日(*厳密には、7年前)の日本について、自分の思うところ

を述べてみたい。   【了】

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