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2013年4月 5日 (金)

日蓮上人(4 )

   2.誕生と献身

 

  貞応元年(1223年)の春、波打つ水平線上に昇った太陽が、地上の

国々のうちの最東方の一点に、バラ色の光を投げかけた時、安房の国の

東端の岬に近い小湊村の漁師の家に、一人の赤子が生まれた。

                                Photo_7

  子供の父親は、ある政治的な理由から、この地に亡命して来た者である

が、今は、他と何も変わったところもない貧しい漁夫である。

  同じく生まれの卑しくない母親は、太陽神の熱心な崇拝者であった。彼女

は、その神に、男の子を授けたまえと、長い間、祈っていたのであるが、

その祈りが、今こそ叶えられたのである。

                              Photo_8


  神の恵みを記念して、両親は、その子に善日麿という名をつけた。

この事実は、この子の成人後、この世界に対する彼の使命を決定しようと

する際に、重要な意味を持つのであるが、そのことは後にわかるであろう。

  彼の誕生に伴って、あらゆる驚異や奇跡が現われたことが伝えられて

いる。

 例えば、「出産の汚れを洗い流すために」、その漁夫の家の庭先には、

透き通る泉が自然に噴き出したとか、世の常ならぬ大輪の白蓮が、家近く、

季節はずれに花を開いて、「空中に芳香を放った」という類である。

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  現代に生きるわれわれは、これらの話を、信心深い当時の人々の空想

のなすところと考えがちであるが、しかし、彼の誕生の年月日だけは、ここ

に特筆する価値がある。

  なぜならば、それは、後年、この若い熱血漢の心中に、日本国の救済

という、きびしい問題が持ち上がった時、彼が幾たびも思いめぐらしたこと

であったからだ。

  彼の誕生の年は、仏陀の入寂後二一七一年であって、すなわち第一

の「正法千年」が終わり、第二の「像法千年」もまた過ぎ、第三で、かつ

最後の「末法千年」に入ったばかりの時であった。

  「大いなる教師」(仏陀)の予言によれば“彼の東方”に一つの光が現

われて、最後の暗黒の日々を照らすであろうとされていた時代である。

  また善日麿の誕生の日は陰暦二月十六日であるが、これは、仏陀の

誕生日である二月十五日の一日あとである。

                              Photo_11

  そして、われらの主人公のような性格の人は、このような一致を、きわめ

て重大なものと考えるのだ。

  善日麿(*下の写真の像)が十二歳になった時、信心深い両親は、

息子を僧侶とすることに決めた。

 後年の彼の行動と考え合わせて、われわれは、彼の幼時の非凡さを物

語る多くの逸話を、十分信用するに足るものだと信ずる。

                        Photo_12

  また、亡命漁夫である彼の父親が、息子を僧職にささげることによって、

息子が世に出る機会を作ろうと熱望したことも、当然であると思う。

  なぜならば、階級差別の厳しい当時にあっては、低い階級に生まれた

秀才が、世に頭角を現わそうとすれば、宗教に入るよりほかに道はなかっ

たからである。

  彼の生まれた地から遠くない所に清澄寺(*下は、今日の清澄寺)とい

う寺があって、そこの住職の道善は、学徳ともにそなわった僧として、

その地方に名高かった。

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  善日少年は、そこに連れて行かれて、慈愛深い師に預けられたが、師は

この少年に対し、特に目をかけていたように思われる。

  四年間の修業期を過ぎて、十六歳になった時、少年は、正式に僧職に

任ぜられて、蓮長という新しい名を与えられた。

  この若い弟子の異常な才能を見守って来た善き師は、この時、すでに

彼を、自分の後継者として指名しようと考え始めていたのである。

  しかし、両親の望みであり、師の誇りでもあった少年の心の中には、

人知れぬ争闘行なわれつつあった。

  そして、この心中の争闘に駆り立てられて、彼は、ついに生まれ故郷を

捨て、道を求めて日本全国を巡るようになるのである。  【つづく】

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