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2012年10月25日 (木)

山陰・心の旅(三.宍道湖編)

 松江の美しさは、同時に、宍道湖(しんじこ)の美しさではないでしょうか。 

私には、宍道湖の美しさや恵み無しには、松江の美しさや豊かさも無いよ

うな気がします。

 

  宍道湖は、松江市に属するとはいえ、この街と湖の関係では、松江は、

琵琶湖に面した大津市や諏訪湖に面した諏訪市に似ているように感じ

ます。    Photo

  そして、各々に共通して言えることは、後背の湖の豊かな恵みや風景の

美しさによって、街が形づくられているということです。 

  このような「共生」の関係は、松江や大津、それに諏訪に共通した、実に

”日本らしい”都市の在り方のように思います。
 
  その意味で、松江を愛する人は、同時に、宍道湖を愛するように感じます。
 

実際、かつてのハーンも、そうだったのではないでしょうか。 

彼にとっても、宍道湖無しの松江は考えられなかったと思うのです。

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  ところで、ハーンは、松江の美しさの一つに、精妙な「音」の素晴らしさを

挙げています。 

  彼の時代、杵で米をつく音、下駄のカラン・コロンという音、川向こうの

お寺から聞こえる鐘の音、宍道湖のシジミ売りの声など、その静寂さの

で発せられる精妙な「音」の素晴らしさを、彼は、とても珍しげに記して

います。

 

  その点、今日の日本人は「音」に対して、ひどく鈍感になっているのでは

ないでしょうか。 

  「音」に心配りをするドイツ人などからすると、彼らが日本で感じる無神経

騒音や雑音に接して、きっと”現代日本人は狂っている!”と感じるドイツ

は、決して少なくないと思います。 

  つまり、現代日本人は、余りにも「音」に対して鈍感、かつ無神経になって

しまいました。 

  その意味で、限りない静寂や静謐さは、明らかな「美」だと思うのです。

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  その「美」が、松江や宍道湖にはあるのです。 

120年も前に、ハーンは、それに気付いていたと感じます。 

  また、松江や宍道湖で耳にした、街の人々の優しい言葉遣いや温かい

音の響きも、正直、私には、とても快いものでした。その印象は、岩国を訪

ねた際も同様でした。 

  そこには、京都に通じる”おもてなし”の精神があり、人々の内面的な温

かさが感じられました。

 

  人々が語る言葉や振舞いに、とても気品があり、それは、接する人に、

何とも言えぬ”なごみ”を与えてくれます。 

  正直、われわれ九州人には、なかなか真似のできない濃やかさだと感じ

ました。



  ところで、松江と宍道湖は、私にとりまして、まるで「夫」「妻」といった 

夫婦関係のようにも思えました。

 宍道湖は、美しい風景と豊かな恵みによって、常に松江を支えているように

感じました。 

  両地域は、このように支え合い、互いに補い合う関係にあるのではないで

しょうか。

 

  つまり、それは、須佐之男命と櫛名田比売のような、また小泉八雲と小泉

セツのような関係にあるように思うのです。

確かに、宍道湖や中海の大部分は、松江市に属しています。 

  しかし、松江市にとって、その観光的、文化的、かつ経済的な意味で、宍道

湖が、突出した存在であることは間違いありません。

 

  実際、宍道湖には、「宍道湖七珍(しっちん)」と呼ばれるものがあります。 

つまり、スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマザキ、シジミ(大和シジミ)、コイ、

シラウオといったものです。 (*下の写真は、宍道湖の大和シジミ)

  それぞれの頭一文字をとって、「スモウアシコシ」と覚えるといいようです。 

  (*Wikipedia  参照) 

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 年中獲れるシジミ以外は、それぞれが季節に応じて漁獲されます。 

このような地域は、日本でも珍しいことでしょう。




   実際に、「白鳥号」に乗船して、宍道湖を周航しました(大体、1時間ほど

乗船時間です)。その時、乗ったのは、私たち二人だけでした。 

  湖面に、朝の日の光が射し、とてものどかなひと時でした。 

周辺の湖岸には、240種以上の鳥類が生息しているとのこと。 

また、宍道湖では、68種の甲殻類が報告されています。まさに、様々な生き

物の素晴らしい生活圏です。

 

  宍道湖は、2005年には、近接する中海と共にラムサール条約に登録され

ました。

  唯、現在は、透明度は1mと悪く、富栄養化が進んでいます。そのため、

時折、アオコが発生することもあります(*下の写真) 

          Photo

  まさに、自然の保存と環境の保全が、今後の課題となっています。 

これは、決して宍道湖だけの問題ではありません。国内の豊かな自然を、

いい形で、いかに後世に遺すか、われわれ一人ひとりが真剣に考えなけ

ればならないと思います。

 

  言うまでも無く、日本の美しさの一つは、その自然の美しさによって成り立

っています。 

  かつてハーンが愛したのは、未だ近代文明に毒されていない松江の美しさ

であり、自然がじゅうぶんに残った、当時の宍道湖の美しさだったことでしょ

う。               Photo_9

   私は、宍道湖の美しい夕日を仰ぎながら、120年前に、ハーンも、同じ夕日

に感動していたことだろう、としみじみ、彼の心を思い浮かべておりました。

 【つづく】

 

 

 

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