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2012年10月12日 (金)

『消費税増税「乱」は終わらない』」を読んで(3)

  対談の第二日目は、主に斎藤貴男氏(*下の写真)が、報告する内容

になっている。 

そのタイトルは、「税制と経済に見るこの国の残酷なかたち」である。

また、それには、「中小零細業者の絶望がきこえる」という副題が付いている。

     Photo

       

  消費税(*本来なら「付加価値税」と呼ばれるべきもの)のインチキ性を

最もよく知る斎藤氏は「中小企業では価格に転嫁できない」という現実を

前にして、次のように語る。 

  「消費税には本質的な問題があります。価格支配力のない中小零細企業

や独立自営業では価格に転嫁できないという大問題ですよ。 

  周囲の同業者との競争上、あるいは元請け、下請けの力関係で、景気が

うんといいときならともかく、いまみたいな時には、増税分を値上げして売れ

るはずがない。 

  周囲の同業者がウチは我慢して値段を据え置きますってやったら、他も

追随しないわけにはいかないでしょう。 

  で、元請け、下請けの関係で、下請けが今までよりも五%乗せた請求書

を出したら、お前、二度と来るなってなるのは目に見えてます。 

  だからって、年間売上高一千万円以上の事業者が納税義務者であること

には変わりはない。ということは自腹を切って納めるしかない」と。 

  この“自腹を切って納めるしかない”という現状は、非常に深刻だ。 

むしろ、これは、由々しき問題である。

 

  事実、斎藤氏によれば、「弱いほう、弱いほうへ負担を押しつけるのが

消費税の本質だと思うんです。 

  つまり、サラリーマンや非正規を含めて勤労者の賃金を下げることを

前提にした増税でしかないというふうに僕は考えているんです」となる。 

  つまり、人件費の削減も、消費税増税の目的の一つである、ということ

になるのだ。

                  Photo_2

         


  しかし、20年以上に及ぶ深刻なデフレ下、サラリーマンの給与は、実質

的に目減りしているというのに、それ以上の減収が求められることになる。 

  これは、まさに生活権の破壊とさえ言えよう。 

  それに、一般に消費税は、消費者のみにかかる「税金」だと考えられ勝

ちだ。 

 だが、実際は、「流通」のすべての過程で、各々の関係者が負わなけれ

ばならないものなのだ。

 

  それゆえ、斎藤氏によれば、「(消費税の)仕組みは、ヨーロッパの付加

価値税と一緒で、原則あらゆる商品やサービスのすべての流通段階にか

かるんです。小売の段階だけじゃない。 

  せめて、付加価値税に名称変更するくらいの誠実さは見せてもらいたい

と思うんだけど」となる。

 

  この点に関しては、植草氏も、次のように明言する。 

つまり、「消費税は消費者が負担する税という説明はやはり成り立たない

ですね」と。 

  そして、同氏は、次のようにまとめる。 

  「実際には消費税を行なうとき、値段が上がらない部分は零細な事業者

か勤労者が負担することになるので、相対的に力の弱い人の負担になる

でしょう。

  この場合には、消費税とは別に『弱小勤労者税』
とか『零細事業者税』な

どの別の名称を付けることが必要です。

 それが実態に即した税の名称ということです」と。

     Photo_4
                        

この言葉こそ、まさに「消費税増税」の本質を衝いた言葉だと思う。



  この植草氏の言葉に対する斎藤氏の言葉も、実にシャープで含蓄がある。
 

斎藤氏は言う。 

  「そうです。ほんとに悪魔のような税制だと思います。要するに、弱いが故

に余計取られるということなんですよ。 

  しかもその構造が一筋縄ではいかなくて、わかっていない人たちがすごく

多いです。 

 税理士さんの中にも税務署の言い分をまるごと鵜呑みにしている人が

少なくないぐらいです。 

  たしかに計算上は転嫁できてることになっているから、やっぱり商売その

ものを実感としてやらない限り理解できないんです。 

  それが全て計算づくだったとしたら、このシステムを考えた人間は悪魔そ

のものだと思いますよ」と。

 

  私は、この斎藤氏の最後の言葉を、決して大袈裟だとは思わない。 

事実、今日の日本は、政治も経済も、“悪魔”によって支配されていると思う。 

少なくとも、“悪魔の心”を持った人々によって支配されていると思うのだ。


  また、本章の重要部分に、「他国の戦争にたかりまくった国、日本」があ

ると思う。斎藤氏は、次のように力説する。 

  Photo_5

  「一つは朝鮮戦争

(*左の写真)です。

 あのとき当時の財界

人たちが旱(かん)天

の慈雨とか、神風とか、

およそ恥知らずの凄

いことをいろいろ言っ

ています。 

  僕は日本工業新聞

にいたときに読んだ

新日鉄の社史―八幡

製鉄と富士製鉄を

わせたのがあるんで

すが、そこにも、朝鮮

戦争のおかげで我が

は大儲けをした、

と威張って書いていま

したね。 

  他人(ひと)んち

の戦争で荒稼ぎ

した恥部を自慢するなよって思ったことをよく覚えています。 

  もっと大きかったのはベトナム戦争(*右下の写真)です。 

Photo_6 これは朝鮮戦争の

ときの日本と同じよう

な立場になった東南

アジア諸国への輸出が、

この間に激増するわけ

です」と。

 

  これに続いて、斎藤氏

は言う。 

  「僕は九条を守れと

いう立場ではあるけれ

ども、九条に守られな

がら戦争で食ってきた

国だなあとも思うんですよ。 

  これからもそうかもしれない。というか、今の段階で成長というときに、為政

者や財界人が考えるのは、これまでの延長線上でしか考えていないような

気がしてならないのです」と。

  この斎藤氏の指摘は、ひじょうに鋭いと思う。事実、強欲な大企業や銀行

私利私欲によって、本来、国民のためにあるべき政治や政策が無理

矢理ねじ曲げられ、国民を不幸に陥れる現実は、昔も今も、本質的に、

一つ変わらない。

 この現実を、われわれは、より深く認識しなければならないと思うのだ。


  この斎藤氏の指摘に対して、植草氏は、「戦争と日本経済の成長という

視点は非常に新鮮でした」として、斎藤氏の慧眼を素直に賞讃する。

  ここでの植草氏の「憲法論」も、たいへん斬新だ。同氏は言う。

  「憲法の問題も、憲法改正論者は押しつけ憲法だから変えろと言います

が、私は、押しつけでも押しつけでなくても、善い内容であれば善いし、悪い

内容であれば変えればいい。それが幹の議論だと思います。

  ところが枝の議論が前面に出ている」と。

Photo_8
 私も、全く同感だ。

  確かに、憲法第九

は、日本が二度と

メリカに刃向かわ

いように、日本を羽

交い絞めにしようと

たアメリカの意図を

感じる。

  だが、私の母などは、

この憲法条文の“非戦”

の奥には、「日本の

八百万の神々の導き

があったと思うよ」

語る。

  私も、あながち、

これを否定できないと思うのだ。  【つづく】

 

 

 

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