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« 孫崎享氏『戦後史の正体』を語る(2) | トップページ | 私の「石橋湛山論」(1) »

2012年8月 9日 (木)

孫崎享氏『戦後史の正体』を語る(完)

  (*孫崎氏は、続けます。)

 日本の多くの人は、戦後の歴史の中で、日本の人々が、戦争の後、

飢え死にしなかったのは、米軍が助けてくれたお陰だと思っているん

ですけれども、事実は、それとは違ってね、あの厳しい折、日本人が

飢え死にするかと思われた時において、日本の国家予算の30%ぐら

いが、米軍の駐留経費に要っていたんですよ。

Photo_15
  それを、(当時、

大蔵大臣だった)

石橋湛山(*右の

写真は、蔵相に

成り立ての頃の

湛山)”軽

する”というこ

を、米国に通

する。

 これに対して

=これを理由に)、

石橋湛山は、大蔵

大臣を降ろされる。

  その時に、石橋

湛山が、こういうことを言うんです。

  「俺は、殺られてもいいんだ。

しかし、それに続く大蔵大臣が、また俺と同じように、米軍の経費縮小と

いうことを言えばいいんだ。(あるいは、)それも、殺られるかも知れない。

  しかし、そういうような事を、2年3年続ければ、アメリカも諦めて、日本の

言う事を聞くようになるだろう」 と。まあ、石橋湛山は、そう言うんですよね。


 じゃ、それに対して、日本の政治家が、どう対応したか?

石橋湛山が切られる前に、石橋グループが、30名ぐらい集まるんですよね。

そして、“この時代に、どう対応しようか”ということを協議する。

 しかしながら、石橋湛山が切られてしまうと、どうなるか?

集まってきた(石橋氏を)支持する代議士は、3名なんですよね。

  だから、この、米国に何かされた時に、しかし、それと同じ事を、もし繰り

返して行けば、結局は、米国も、日本側の言い分というのが有るというの

が分かって、”訂正”してくるんじゃないかと思います。


  しかし、残念ながら、この流れと同じ事が、「普天間問題」で起こったわけ

ですよね。

 Photo_16

  鳩山首相は、

「最低でも、県外」。

   ”沖縄県民が反対

している以上、これ

は実施できない”と

いうことで、「最低で

も、県外」と言った。

(*写真は、辺野古

海岸。同海岸は、”海洋

資源の宝庫”だと言われ

る。)

  しかし、結局、その(=米国の)圧力でもって、鳩山首相は辞めるんです

けどもね。

 じゃ、その後、日本の首相が、どのような対応をとったか?

  同じように、沖縄県民の意向で、実施できないと、鳩山首相と同じような

形を主張したか?  全く、そうじゃないんですよね。

Photo_17
 今度は、手のひらを

返したように、「対米

追随」をするというこ

とが、自分たちの

き残りであるという

ことで、菅首相、

それから典型的な

のは、今日の野田

首相、この方が、

「対米追随」路線を、

今までの、どの首相

よりも、強く打ち出して来ている。

(*写真は、2010年4月22日、米国のアーリントン墓地を訪問し、

献花した菅氏。だが、同氏は当時、国家戦略相ではあっても、

まだ総理ではなかった。そんな彼が、なぜ国賓待遇?・・・・

 写真は、「共同通信」)

  しかし、こう見て行きますとね、これは、単に、野田首相一人の「個性」の

問題じゃないと思うんです。


  長い歴史の中で、「対米追随」ということを主張する首相が、生き残れる。

そして、もしも、「自主」というものを強調しようとする人がいると、それは、

日本の組織全体が、一緒になって、これを潰していく。

  その「組織」というのは、メディアであり、検察であり、政治家であり、

財界であり、官界である、と。


 かし、もう、こういうようなものは、日本の行きべき

道筋ではないんだと、もう一回、われわれが、アメリカ

との関係を、どうすべきかということを考える「時期」に

来ているんだと思うんですよね。

  Photo_18
ちょうど、それ

は、今、”われ

われが正しい

と思ってい

「原発」という

ものを、もう

一度見直そう!”

という思いと連動

しています。

 *写真は、国会 

議事堂前に集結し 

た脱原発デモの 

人々


  それは、大手新聞社が言ったから、”そうしよう!”と

言うんじゃないんですよね。

 あるいは、官僚が、”そうしよう!”と言ったから、そう

するんじゃない。

 政治家が、”そうしよう!”と言ったから、そうするんじ

ゃない。

 

  むしろ、既存の勢力、財界を含めて、既存の勢力が、

”原発を推進する”と言ってもね、多くの国民は、

”そうではない!”と、やはり、違ったものの考え方が

あって、それに向かって行く時期に来ているんだと思っ

たと同じようにね、私たちが、この日米関係の在り方と

いうものを問い直して、本当に、従来、アメリカに追随

しているのが、日本の利益になるのか、多分、そうでは

ない、ということで、日本の歴史を見直して「自主」

動きというものを、打ち出す時期にきているんじゃない

かと、まあ、そのために、戦後の日米関係の歴史を扱

った今回の本が、皆様のお役に立つんじゃないかと

思っています。

  どうも、有難うございました。  【了】 

  (後記:次回は、私の「石橋湛山論」を、掲載いたします。)

 

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